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秋篠宮ご夫妻タンザニア訪問

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ある日タンザニア大使館の方から電話があった。今度要人がタンザニアへ来られ、その際にンゴロンゴロとセレンゲティ公園へも行くため、その時にガイドをお願いしたいとのこと。以前にも日本の政治家が来た際にガイド依頼があったので、また偉そうな人が来るのかなと思う。話を聞くと、その人はとても動植物に詳しく、特に植物に興味がある。また普段僕達が使う動植物の呼び名ではなく、科学名で訪ねてくると思いますとのこと。うん?学者さんかな?名前を聞くが、今は話せないとのこと。でも偉そうに座席にふんぞり返り、秘書の人をアゴで使うような人とは違う感じなので、仕事を引き受ける。それが秋篠宮ご夫妻と分かるのはかなり後のことでした。

大使館員が準備でテンヤワンヤしている頃、僕は学生時代のノートを見つけ出し科学名をおさらいしておいた。この科学名のテストというのがあり、全て暗記するのに徹夜していたなと思いだす。部屋の壁に草花を貼り付け、いつも目にできるようにしていた。忘れてはいたが、一度頭に入れたことだからか今回は思い出す感じで覚えていける。学校を卒業して15年経過した今あの苦労のありがたみを感じていました。

皇族のガイドか・・・、スゴイことなんだろうな。始まる前は実感がなく、緊張もなくボッーと図鑑を眺めていました。

初日朝5時アルーシャを出発。秋篠宮ご一行が到着するのはンゴロンゴロ保護区手前にあるマニヤラ湖滑走路。短い滑走路なのでセスナ機で到着される。滑走路に着くとたくさんに人と車。みんな関係者ばかりだけど。警察・政府関係者・報道などなど。段々緊張してきたな、やはり。早く到着してくれないかなと待つ。

ご夫妻到着。ガイドなので一緒の車に乗り込む。うん、普通の感じで話しかけてくれるので、こちらも普段の感じになれる。良かった、と安心する。しかしそれもつかの間、周りに植物が増えてくると秋篠宮様の科学名での質問が出てくる。スゴイぞ、なんでタンザニア固有種の情報をしっかりと掴んでいるんだと。事前に勉強されたのか、いやでも質問されずにこちらが勝手に説明した植物のネタまで知っている。これは積み重られた知識でしょう。知識の層が厚く広いのに驚く。紀子様もチョウチョウの話で盛り上がる。普段は使わないネタなので、記憶を掘り起こしてガイドをしていく。なかなかこのご夫妻のガイドは頭が疲れる。

ンゴロンゴロとセレンゲティ、それぞれの公園ではスタッフ達が出迎えてくれる。そして学校のクラスメートも何人かおり、僕を見つけて褒めてくれる。こんな名誉な仕事を出来ておめでとう!と。いやいやと言いながら、誇らしげにお二人の横を歩く。

ンゴロンゴロのガイドを終え、セレンゲティの宿へ向かう。3時間弱の道のり。時間が押しているため、ここは車を飛ばす。秋篠宮様がウトウトとしている。そりゃ疲れるだろうな。ここに来るまでにタンザニアの大統領と面談したり、色んな人に会ったりしてきたろうから。でもここはセレンゲティ。道は舗装されていないボコボコ道。しかも先導するタンザニア政府の警察車輛が飛ばす飛ばす。車内もかなり揺られ秋篠宮様が壁に頭をぶつけそうなので、後ろに座っていた僕は見ていてハラハラする。いつ頭をゴツン!とぶつけるのかと。少しためらうが、僕の手を秋篠宮様の頭と壁の間に入れる。それを見ていた紀子様がハッと気づいて、自分のスカーフを僕の手の代わりに入れてくれた。失礼かもしれないけど、何か普通のご夫妻みたいで嬉しかった。

セレンゲティのロッジで。ここのロッジは公園内にあり、柵はないので時折動物が侵入してくる。でも動物は臆病なので人間が多い場所にはそんなに近寄ってこないのが普通。秋篠宮様ご夫妻が泊まられている部屋の周りを警備の人が一晩中見回るらしい。警備とは何からだろう?それより警備している人達が肉食獣に襲われないかな?と。何事もなく翌朝を迎えました。

翌朝は早朝サファリ後にサバンナでブッシュブレックファースト。ロッジからスタッフが出張して、サバンナの真ん中で朝食を作ってくれる趣向のもの。気持ちいいですよ。他のサファリ車が多い道から離れて静かに風に吹かれながら朝食を取る。そして朝食後に秋篠宮様が写真を一緒に取りましょうと言ってくれる。これは嬉しい提案。さすが秋篠宮様です。僕は一緒に写真を撮りたかったけど、それを言うのに気が引けていたのでこの一言に助けられました。

たった1泊2日のガイド仕事でしたが、一生の思い出になる2日間でした。